残業代請求は下記に限りません。
その他の場合もお気軽に弁護士にご相談ください。
会社から残業代が払われていないので「払ってほしい」と言ったところ、「あなたは管理者になるから、残業代はありません。」と言われました。しかし、私は実 際は会社に言われるとおりに働くだけで、勤務時間など自分で自由にできるわけではありません。残業代がないのは仕方がないのでしょうか。
本来、残業代は、その月の残業実績に基づいて毎月計算されて支給されるものです。ところが、会社によっては、「残業代は固定で月5万円を支払う」とか「営業手当は残業代扱いとする」などの内容で給与が支給されているところがあります。
しかし、その多くで、残業を何時間しても、固定残業代以外に残業代が支払われないという違法な運用をしている事業所があります。
裁判所の判例では、支払われている固定残業代と基本給を金額として明確に区別できなければ、残業代の一部が支払われたとはいえず無効と判断しています。「残業代は基本給に含む」という金額不明の規定ではなく、契約時に契約書や就業規則で金額が明示されていなければならないのです。
さらに、何よりも重要なことは、固定残業代額が、実際の残業に対して計算される残業代の額を下回る月には、不足額を支払う合意や規定をしているか、現実に不足額を支払っていることが要件とされています。
現実には、これを支給せず、残業代の頭打ちとし、違法な固定残業代制度を導入している事業所が多いのが実情です。
したがって、固定残業代制度は、実際の残業手当が、事業所が固定残業代で予定している残業時間の範囲内にとどまり(つまり不足額が出ることはない)、毎月の残業時間の計算の手間を省く意味で実施するとか、基本給以外に、これだけの残業代は最低保障するという意味で利用されるべきものです。
管理会社に雇われ、マンションの管理人をしているのですが、夜の10時から朝の6時までが仮眠時間とされ、泊まり勤務手当として2000円が支払われるだけで、時間外手当や深夜手当が支給されません。この時間は、マンションの外に出ることはできず、警報が鳴ったときなどは対応しないといけないのですが、時間外割増賃金や深夜割増賃金を支払って貰えないでしょうか?
仮眠時間が労働基準法上の労働時間に当たると認められれば、原則時間外割増賃金や深夜割増賃金を支払ってもらうことができます。
労働基準法上の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下におかれている時間をいい、これにあたるかどうかは、客観的に決まります。仮眠時間についても、何かあった際には直ちに対応することが義務づけられていれば、時間的・場所的な拘束の程度などの事情も踏まえて、労働時間に該当すると認められる場合もあります。
もっとも、労働時間と認められた場合でも、監視・断続的労働として使用者が労働基準監督署長の許可を得ていた場合には、許可を受けた条件を遵守している限り、時間外割増賃金や深夜割増賃金休日手当を支払ってもらうことができません(労働基準法41条3号)。
なお、労働基準法41条3号によっても深夜業については適用除外されませんので、深夜割増賃金の請求は可能です。しかし、許可基準を定める通達では、宿直手当の最低額なども定められていますが、宿直手当には深夜割増賃金も含むと解釈されているので、労基法のとおり算出した深夜割増賃金の額が「泊まり勤務手当」の額を超える場合に、差額の支払が請求できることになります。
トラック運転手をしていますが、会社から残業代が払われません。会社に残業代を払って欲しいと言いましたが、会社からは、あなたとの契約は雇用契約ではなく、運送業務の委託契約なので残業代は発生しないと言われました。確かに契約書には業務委託契約と書いていましたが、残業代はあきらめるしかないのでしょうか?
総務の仕事で毎日残業しています。いちいち上司から残業の指示はないのですが残業をしないとこなせない仕事量です。このような場合、残業代は請求できますか。
残業手当の支払い義務は、使用者が実際に労働者を指揮命令下に置いた時間について発生します。上司が明示的に残業を命じなかった場合でも、残業を黙認していたような場合や与えられた仕事量からして残業せざるを得ない場合には会社は、残業手当の支払い義務を負います。また、始業前の掃除や準備や朝礼、研修、業務後の後片付けも、業務に必要なものとして従事せざるを得ない場合には、その時間も労働時間になります。つまり、労働時間に当たるかどうかは「使用者の指揮命令下にあるか」という観点から客観的に決まるもので、使用者が勝手に決められるものではありません。残業代は賃金額と残業時間数で算定しますので、請求をするためにはタイムカードやその他出退勤の記録で、残業時間の証拠を確保しておくことが重要となります。
今働いている職場は「変形労働時間制」が適用されており、毎日10時間働いても残業代は出ないそうです。どうしようもないのでしょうか。
労働基準法にのっとった「変形労働時間制」となっているか点検が必要です。法律の要件を満たさないのに「変形労働時間制」と称している場合もあるからです。
変形労働時間制とは、一日8時間、週40時間の法定労働時間のところ、一定期間を通して平均すると、全体としてその枠に収まっていれば、一日8時間、週40時間を超えて働いても残業としないこと(残業代なし)ができるという制度です。「一定期間」については、一ケ月のもの、一年のものが多く利用されています。
具体的な定めかたも、各日、各週の労働時間を始業時刻終業時刻を特定して、あらかじめ定めておく必要があるなど、かなり厳格になっています。
また手続として、それを定めた労使協定や終業規則の労働基準監督署への届出が必要です。
したがって、みせかけだけのニセの「変形労働時間制」も多く、見極めることが必要です。
裁量労働制がとられているが、適正か?
私はIT技術者として勤務しており、連日長時間の残業を強いられています。しかし、職場では「裁量労働制」が導入されており決まった金額しか支給されず、実際の残業時間に見合った残業代を払ってもらえていない状況にあります。こんなことは許されるのでしょうか。
裁量労働制は、業務の性質上その遂行の方法を大幅に労働者に委ねなくてはならないケースにおいて、労働基準法の例外として導入された制度です。しかし、長時間のサービス残業を容認する弊害を防ぐために、厳しい規制があり、適用可能な対象業務類型に該当しない場合はそもそも導入できませんIT業界でいえば、労基法は、「情報処理システムの分析又は設計の業務」の専門業務について裁量労働制を認めていますが、この類型については「プログラムの設計、プログラマーは含まれないものであること。」とされていて、プログラマー業務に従事している場合には、兼務の場合も含め、多くは違法となります(裁量労働制が違法とされた例として、エーディーディー事件・京都地裁平成23年10月31日 労判1041号49頁、大阪高判平成24年7月28日労判 1062号63頁)。また、裁量労働制には、導入するためのいくつもの要件が要求され、一点でも違反があればり裁量労働制は無効となります。
私たちは、1968年の開設以来、労働者の皆様の権利を守るためことを活動の柱とし、多くの労働事件に取り組んできました。現在も(特に労働者側の)労働問題を専門とする弁護士が数多く在籍しており、残業代請求についても実績を重ねてきました。
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