相談事例
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【イベント会場のテント設置の事故対策】
屋外のイベントで大型テントを設置していたのですが、当日は気象台が竜巻に注意という発表をするほど天候が悪く、強風が吹いてテントが飛ばされ、けが人が出てしまいました。主催者側は責任を負うのでしょうか。
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強風が通常吹く程度の風速を超えていたもので、テントについて通常行われる方法で設置しその不備もない場合で、特に具体的に予測される危険も無かったようであれば、基本的には責任を負わないと思われます。気象台による注意報の発表があったとしても、いつどこで発生するかの予測は困難なものであり、それだけで直ちに竜巻などの突風に備えた安全対策を講じるべき法律上の義務が生じるとは言えません。
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【名目的取締役と責任】
友達から経営する会社に取締役をおく必要があると頼まれて、名前だけ使って貰うことを承諾してしまいました。しかし、冷静になって考えてみると、会社の経営に関わってもいないのに、取締役の登記をされているのが気になります。将来、誰かから責任を追求されたりしないでしょうか。
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取締役などの役員は職務を行うにつき悪意ないし重過失があった場合、それによって生じた第三者の損害について賠償責任を負います(会社法429条1項)。このため、平取締役であっても、代表取締役の職務執行を監督しなかったことに悪意、重大な過失があるとして損害賠償請求を受けることはあります。
報酬も一切受けないなど名目的取締役の事例で重過失による任務懈怠があるとは言えないとして損害賠償責任を否定したものもありますが、平成17年の商法改正以降、取締役は必ずしも複数必要なわけではなくなりましたので、数あわせ目的で名目的取締役が置かれる必要性はなくなったと言えます。よって、今後は、名目的取締役の責任は厳格に評価されてもおかしくありません。会社の業務に関わるか、そうでないなら辞任手続をとられるべきでしょう。
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【取締役の辞任と辞任登記手続】
会社の取締役として登記されています。辞任したいのですが、登記を抹消するにはどのような手続をとる必要がありますか。
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取締役と会社の関係は委任契約になりますので、取締役は原則としていつでも辞任届を出すことによって、辞任することができます。ただし、会社に辞任届を出すだけでは、商業登記簿上の登記は抹消されません。この場合、会社は、速やかに法務局に辞任した旨の登記申請をする必要があります。
他方で、会社が取締役会設置会社の場合、取締役は3人以上必要ですので、当該取締役の辞任によって3人を下回ってしまう場合には新たな取締役が選任されない限り辞任登記をすることは出来ません。