B型肝炎訴訟

国に責任のある集団予防接種等によってB型肝炎ウイルスに感染した被害者の方に、平成24年1月13日より「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」に基づく給付金が支給されることになりました。

この給付金を受給するためには、国との間で裁判上の和解が成立することが前提になりますが、この和解の基準を満たすかどうかの判断はなかなか複雑です。全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団は、国との間で、和解によって救済される基準等を定めた基本合意を締結した原告団・弁護団ですので、和解の基準やそのために必要な資料について熟知しています。

当事務所では、井上(事務局長)、古本、峯田、冨田が大阪弁護団に所属しています。

放置してしまうと・・・・
  • ①集団予防接種による感染であることを立証するための証拠(母や上の兄姉の検査が必要)が得られなくなる
  • ②被害・病気を立証するための証拠が廃棄される(病院などのカルテ)
  • ③発症後20年を越えると、減額した和解金しか払われない可能性がある

B型肝炎とは

B型肝炎とは,B型肝炎ウイルス(HBV)に感染することによって起こる肝臓の病気です。B型肝炎ウイルスに感染し,ウイルスが体内に住み着く状態(持続感染)となった場合,慢性肝炎,肝硬変,肝がんの原因となります。
日本でB型肝炎ウイルスに感染している人は、110万人~140万人いると推定されています。
B型肝炎ウイルスの主な感染原として,集団予防接種の際の注射器の使い回し,母親からの感染,輸血による感染等があります。

B型肝炎訴訟とは

昭和23年から昭和63年までの40年間、日本では、全国民・住民を対象とした集団予防接種において、注射器の使い回しが行われていました。その結果、40数万人(国の推計)もの人々がB型肝炎ウイルスに感染させられました。
これらの感染被害者が、国の法的責任に基づく損害賠償等を求めた裁判が全国B型肝炎訴訟です。

平成元年に札幌地裁で5名の原告が提訴し、17年に及ぶ闘いの末、2006年6月に最高裁で国の責任を認める判決が確定しました。しかし、当時の原告(北海道の5名)が同じ被害者全体の救済対策を取ることを求めたにもかかわらず、国・厚生労働省はこれを拒否しました。
そのため、2008年、①国の法的責任に基づく謝罪、②個別救済制度の確立、③ウイルス性肝炎患者全体に対する治療費助成の拡大などの恒久的な対策を求めた、集団訴訟が、大阪を含む全国の各地裁で始まりました。

基本合意の成立

平成23年6月28日、国(総理大臣)の正式な謝罪を受けて、全国原告団・弁護団は国との間で基本合意を締結しました。
基本合意では、

  • ①国が責任を認めて正式に謝罪
  • ②和解対象者の認定要件と和解金
  • ③今後の治療体制などの恒久対策についての協議の場の設置等

が記載され、国との間で約束されました。

個別の和解対象者の認定基準

  • ①昭和16年7月2日以降の生まれであること
    (昭和23年7月1日の予防接種法施行時以降に7歳未満であったこと)
  • ②B型肝炎ウイルスの持続感染者であること
    (B型肝炎ウイルスのキャリア、慢性肝炎、肝がん、死亡)
  • ③満7歳までに集団予防接種を受けたこと(母子手帳、接種痕、その他で立証)
  • ④母子感染ではないこと(母親がキャリア等ではないこと)、
    または 集団予防接種被害者である母からの感染=「2次感染被害者」であること
  • ⑤集団予防接種以外の感染原因がないこと

給付金の内容

病態の区分 発症後20年が経過していない者 発症後20年が経過した者
死亡、肝がん、肝硬変(重度) 3600万円 900万円
肝硬変(軽度) 2500万円 600万円(300万円)※
慢性肝炎 1250万円 300万円(150万円)※
無症候性キャリア 600万円 50万円※
  • ※現に罹患しており、治療を受けたこともない方に対する給付金額
  • ※発症後20年が経過した無症候性キャリアは、和解金に加えて、今後の検査費用(年4回までの血液検査、画像検査年2回までのCT・MRI)及び年2回までの検査毎の手当1万5000円、同居者への感染防止ワクチン費用を国が負担。

手続はお早めに!

40数万人の被害者のうち、現在(2016年6月時点)、提訴している人は約2万人で、被害者のわずか5%余りでしかありません。 まだこの救済制度を知らない人や、知っていても自分は関係ないと思っている被害者がたくさんいます。自分がB型肝炎ウイルスの持続感染していること(キャリアであること)は、どの医療機関で簡単に検査することができます。

私たちはこれまでの経験に照らし、以下の理由から、ご自身及びご家族のため、一日も早く、相談をされることをお勧めします。

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  • ①集団予防接種による感染であることを立証するための証拠(母や上の兄姉の検査が必要)が得られなくなる
  • ②被害・病気を立証するための証拠が廃棄される(病院などのカルテ)
  • ③発症後20年を越えると、減額した和解金しか払われない可能性がある

参考リンク

 

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