相談事例
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飼い犬の飼育、管理、健康維持は飼い主の責任です。適切な管理を怠ったことで他人に損害を与えた場合には、飼い主は賠償責任を負うことがあります。特 に、ペット不可のマンションで無断でペットを飼育しているような場合、損害賠償のみならず飼育の差止請求も認められています。
また、飼育の状況によっては動物愛護法に違反している可能性も否定できません。
どんなにかわいいペットでも、他の人にとっても同じとは限りません。ルールを守って責任ある飼育を行いましょう。なお、環境省は、家庭動物等の飼育及び保管に関する基準(平成14年5月28日、境省告示第 37 号)を定めていますのでご参照ください。
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子どもが虐待を受けていると疑われる場合には、児童相談所や市町村の家事相談室などに、相談ないし通報してください。通報は、電話でも手紙でも構いません。
児童虐待防止法6条で、虐待を受けていると思われる児童を発見した国民一般に、これらの機関への通告義務が定められています。罰則はありませんが、自ら 通報することのできない子どもに代わって、子どもの身体を救うために勇気をもって通報してください。そのうえで、児童相談所などが調査し、万一、それが虐 待にあたらなくても、通報者の責任を問われることはありませんし、通報者の秘密は固く守られます。
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【子どもが犬にかまれた】
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飼っている犬が人をかんで怪我をさせた場合、飼い主が損害賠償責任を負うのが原則です。(民法718条 動物の占有者責任)
ただし、飼い主が犬の種類や性質にしたがって「相当の注意」をしていたことを証明すれば、例外的に責任を負わないことがあります。
例えば、犬を放し飼いにしていたときは、戸外には幼児や子どもがいますから「相当の注意」をしたことにはなりません。犬をつないでいたときでも、道路を通行する人に容易に接触できるときは同様です。
犬を散歩させるときは、犬が興奮してきちんと制御できないようなときは責任があります。子どもが大型犬を連れていたり、大人でも何頭も連れていたりする場合は「相当の注意」をしたとはいえないでしょう。
このような事故に遭われた場合、被害者のご家族で、自動車保険に附帯されている「日常事故解決費用特約」という弁護士費用保険に加入しておられると、そ れを利用して弁護士費用を自らが負担せずに、弁護士に解決を依頼することができますので、特約の有無も確認してみてください。
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通常、刑事裁判になると、弁護人が被害者に被害弁償などの申し入れをしてくることが多いです。
ただ、被告人に弁済能力がないと、それもなされないことがあります。刑事裁判を担当している裁判所に、被害者が損害賠償命令の申立てをすると、有罪判決後 に、その担当裁判官が、民事上の損害賠償についても審理をして損害賠償額を決定してくれる制度もあります。裁判が終わらないうちに申立てをする必要があり ます。
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【生活保護と扶養義務】
高齢になり、商売をやめて収入がほとんどなくなってしまいました。私には成人した娘がいますが、これまでもさんざん迷惑を掛けてきましたし、娘の生活も大変で、援助を求めることはできません。このような場合、生活保護を受けられないのでしょうか。
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生活保護法は、親族などの扶養義務者がいれば、まずはその人が扶養するべきとしています。しかし、扶養義務といっても、扶養義務者の生活に余裕があって家族の生活にもマイナスの影響を与えないようであれば無理のない範囲で仕送りすれば良いというものであって、扶養義務者に自らの生活を無視して扶養を義務づけるといった強制はできません。福祉事務所には、これまでの経緯など娘さんに頼れない事情を説明されれば良いと思います。
なお、扶養義務者の存在を理由に保護申請そのものを拒否する例がみられますが、福祉事務所は生活保護申請をすべて受け付けて審査しなければなりません。申請を「受理する・しない」を判断する権限はありません。保護申請を受理してもらった上で、扶養調査の結果から判断してもらえばよいのです。
ちなみに、扶養義務者がDV加害者であるような場合には、厚労省も扶養義務者に直接調査をすることが真に適当でない場合とする旨の通達を出していますので、生活保護申請によってDV加害者に居場所が知れるといった心配はありません。
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【自宅を所有している場合の生活保護】
私は、年金がわずかで生活が出来ません。それでも30年以上住んでいる自宅は私名義で住宅ローンもありません。自宅資産がある場合、生活保護を受けることが可能でしょうか。
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持ち家のような財産があると、生活保護を受けることができないと勘違いされることがありますが、そうではありません。生活保護には、資産活用の原則がありますが、持ち家を売ってしまうと住むところがなくなります。豪邸の場合はともかく、一定限度の範囲内での持ち家の場合は保有を認められて、居住を続けながら生活保護を受けることができます。
但し、住宅ローンは残っている場合は、生活保護費をローンの支払いに充てることは認められないので注意を要します。
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【生活保護を受けている場合の収入】
生活保護を受けていますが、体調を見ながら働いてみようと思います。 収入分について生活保護費が減額されるのでしょうか。
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生活保護を受給中に働いて収入を得ると、生活保護費が収入の金額に応じて減額されます。生活保護費から減額される金額は、給与から諸々の控除額を差し引いた金額であって、収入全額ではありません。したがって、収入を得た場合、減額された生活保護費を合算すると、確実に、収入がなかった場合の生活保護費を上回ります。収入からの控除額は、収入の金額に応じて変動します。
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【SNSにおける誹謗中傷】
お客様が、店に対するクレームをSNSに書き込んだようで、抗議の電話やメールが止みません。今後、どのように対応したら良いでしょうか?
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インターネット上の個々の書き込みにいちいち反論すると、火に油を注ぐことになりかねません。収拾が付かなくなる可能性がありますので注意してください。
一番の出発点は、事実関係の正確な把握以外にありません。対応した従業員に対する聞き取りなど、詳細に事実経過を把握しましょう。また、ネット上の書き込みは刻々と変動しますので、スクリーンショットなどで画像を保存しておきます。
その上で、SNS上の記述を、真実を書いている部分と、そうでない部分に分類します。
つぎに、会社のホームページなどで、正確な情報を発信しましょう。どのようなクレームがあったのか、事業所としてどのように対応したのか、今後の改善策としてどのようなことを行っていくのか等をサイトで発信します。公式SNSで誤った情報が流されている場合も、「経緯を自社ホームページに掲載しています」と公式ホームページに誘導して情報を一本化した方がよいかと思います。問題に誠実に対応している姿勢が明らかにするということが何よりも大切かと思います。
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【従業員のSNSへの投稿】
従業員が有名人の店への来店をSNSにアップしてしまいました。このままでは、店の信頼が失墜してしまいます。
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このような書き込みがあると、店としての経営姿勢に非難が集中し、信頼を失墜させてしまいかねません。情報を閲覧した人はスクリーンショットなどで画面を保存し、これをメールや他のSNSで拡散することができてしまいます。判明した時点で,速やかに書き込みをした従業員に書き込みを削除させましょう。可能であれば、アカウント自体を削除する方が良いです。
ただ、一旦このような情報流出があった場合、完全に拡散を阻止することは困難です。予めこのような事態を招かないために、日頃からSNSには顧客情報や、内部情報を掲載しない様に繰り返し指導教育しておくべきでしょう。こうした書き込みを禁止する条項を就業規則に入れることもできますが、繰り返しの指導教育が必須であることに変わりはありません。
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【検索で店の名前を入力するとネガティブな関連キーワードが出てきます】
インターネットの検索で、店の名前を入力すると、「食中毒」「ブラック」「暴力団」など、ネガティブな関連キーワードが出てきます。心当たりのないものなのですが、出てこない様にすることはできないのでしょうか?
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ネットユーザーの方が、GoogleやYahooなどの検索エンジンでいくつかの検索キーワードを入れ、目的のホームページに到着します。しかし、事業所の名前等を入力すると、画面上になぜか思いも寄らないキーワードも合わせて検索しませんかと、キーワードの候補を示してきくることがあり、その候補となるキーワードがネガティブなものである場合、事業そのものへの信頼を破壊されかねません。
そもそも、こうしたキーワードが上がってくるのは、検索エンジン会社が定期的に様々なサイトを巡回して機械的にキーワードを収集し、データベース化していっているからです。このため、こうしたネガティブキーワードが出てこない様にするためには、ネガティブキーワードを発信しているサイトを特定して一つ一つ削除要請をしていくという作業が必要になります。ネガティブな書き込みをしている発信者自身に削除要請できれば良いのですが、発信者の特定自体困難なことが多いですし、意図的に記載している場合には削除を要請しても応じてくれないということが考えられます。そこで、サイトそのものの運営会社やプロバイダーに削除要請する方法もあります。サイト管理会社やプロバイダーに所定の書式で削除要請をしても、削除要請に応じない場合には、仮処分を検討することもあります。
こうした作業をする以外に、サイトそのものの悪質情報を削除するわけではありませんが、Googleなどの検索エンジン会社にキーワードの削除要請をするという方法もあります。
Googleでは「Googleについて」→「Googleから違法名コンテンツを削除する」→「法的リクエストを送信する」
Yahooでは「Yahoo!検索 – 検索結果に関する情報提供フォーム」に必要事項を入力して送信することになります。検索キーワードを削除して欲しい理由を詳しく書いて、削除する様に要請してみてはいかがでしょうか。掲載された情報によっては、必ず削除に応じてくれるという訳ではありませんが、いくつかの方法を試してみる価値はあると思います。
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【子どもの学校での怪我】
子どもが学校で怪我をした場合、どのような補償がありますか。
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労働者が就業中に事故に遭った場合に労災補償があるように、児童や生徒が、在校中や通学中に事故に遭った場合に備えて、日本スポーツ振興センターの災害給付制度があります。
同制度では、学校管理下における災害に対し,医療費,障害見舞金,死亡見舞金等の給付が行われます。この制度では、学校側に責任が発生しないような場合でも給付の対象となります。しかしながら、労災と違って、この災害給付制度で給付される金額はあくまで「見舞金」であり、補償とはいいがたい金額です。
そこで、事故について、故意・過失のあったもの対して損害賠償請求をすることとなります。学校(国公立の場合国や地方自治体)に対する請求や、いじめなど加害者のいる場合には、その生徒や監督する親に対する請求が可能な場合があります。
学校事故に関しては、これまで多くの参考となる裁判例が蓄積されていますので専門家に相談されることはお勧めします。
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【養子縁組について】
養子縁組について教えて下さい。
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成年に達した者は、養子縁組をすることが出来ます。
養子縁組は、血のつながりのない者同士でも、双方の合意にもとずいて、親子関係を結ぶことができる制度で、役所に、「養子縁組届」を提出することで効力を生じます。その結果、法律上は本当の親子と同じ関係となり、養親との間に相続の権利や、扶養の義務が発生します。養子縁組したとはいえ、実の両親との関係が切れることはありませんので、実の両親と養親の両方に、権利と義務が生じることになります(特別養子縁組は除く)。
なお、養子になるには、養子になる本人が未成年者の場合には家庭裁判所の許可が必要です(例外は自分又は配偶者の子や孫を養子とする場合)。また養子が15才未満の場合は、親権者など法定代理人の承諾が必要です。
その他にも、養親は養子よりも年上であることや、未成年者を養子にする場合は、夫婦2人とも養親になるなどの条件があります。
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【特別養子縁組について】
普通の養子縁組みと「特別養子縁組」はどうちがうのですか。
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普通の養子縁組とは別に、養子となる子どもと実親や実の血族との親族関係を終了させて、養親との間の親子関係を重要視するのが「特別養子縁組申立」の制度です。
もともと日本には普通養子制度しかありませんでしたが、「赤ちゃんあっせん事件」を発端に、1987年の民法改正によって特別養子制度が導入されました。大切なことは、特別養子縁組は、子どもの福祉のためにあるということです。ですから「跡取りがほしい」とかといった養親側の都合や希望をかなえるため認められることはありません。
特別養子は実の両親や血族との法律上の親子関係や親族関係は終了します。戸籍の記載でも、養親の本当の実子のように表記され、養子であることがわからないようになっています。ただし、特別養子の身分事項欄に「民法による裁判確定」の表記がされます。
特別養子縁組を行うには、まず、家庭裁判所に特別養子縁組の申立を提出し、次のような条件が満たされる場合に限って裁判所によって特別養子が認められます。離縁は原則として認められません。
① 養親が結婚していて、夫婦2人とも養親になること
② 養親の2人とも成人していて、少なくとも一方は25才以上であるこ と
③ 養子になる者が6才未満であること(6才未満から養親が養育してい た場合は8才未満)
④ 養子の実の両親が同意していること
⑤ 実親による養育が著しく困難または不適当であるなど特別の事情のあ る場合
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【子の認知の請求】
結婚の予定で交際していましたが、二人の間がこじれてしまい破談となりました。しかし、交際中妊娠し子どもを出産しましたが認知をしてくれません。
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父親が任意での認知に応じない場合には、裁判上の手続きによって認知を請求することが出来ます。その場合、裁判を起こす前に、まず家庭裁判所へ調停の申し立てをしなければなりません(調停前置主義)。
調停で当事者間で、子どもが父の子であるという合意ができ、家庭裁判所が必要な事実の調査等を行った上でその合意が正当であると認めれば、合意に従った審判がなされます。
調停で合意が得られない場合、裁判によって認知を請求することが出来ます。現在では、精度の高い血液鑑定、DNA鑑定を行うことが比較的安価に可能ですので、この鑑定結果に従って裁判の結論が出されます。仮に、父親側が、鑑定への協力を頑なに拒否をした場合には、特別の事情がない限り、父親に不利に判断されることとなります。
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【父が死亡した後の認知請求】
子どもを認知されないまま、父親が急な事故で死亡しました。相続のこともあり認知をして欲しいのですがどうしたらいいでしょうか。
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法律上の婚姻関係にない父母から出生した子を父が認知しない場合、父を相手に強制認知の手続きを取ることが出来ますが、父が死亡した場合には,死亡の日から3年を経過しないうちに、検察官を相手に認知の訴えを提起する必要があります。
この3年という期間制限は、判例上、ほぼ絶対的ですので十分注意を要します。訴訟では、認知を求める子や母等が、血液型やDNA鑑定の結果や父と母の交際状況などによって父子関係があることを立証する必要があります。
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【扶養義務の範囲】
2人兄弟です。兄の私が母親に生活費を送金して面倒を見ていますが、弟に一部負担を求めることはできるでしょうか。
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民法は、夫婦相互間、ならびに直系血族および兄弟姉妹の相互の扶養義務を定めています。また、特別の事情があるときは、家庭裁判所は審判により、3親等内の親族間においても扶養義務を負わせることができます。
母親と子は直系血族の関係にあるので、母が扶養を要する場合には子どもは扶養義務を負っています。扶養の程度は、「生活扶助義務」といわれ、自分に余力があれば援助すべき義務であるといわれています。
同順位の扶養義務者が複数存在するときは、扶養義務者は連帯債務的に扶養義務を負うと解されています。したがって、扶養義務者の一人が扶養義務をはたしてし生活費を援助するなどしたときは、ほかの扶養義務者に対して、扶養料の一部を求償できることができます。ですから、弟さんに、分担を調停・審判を申し立てることができます。調停が整わない際には、家庭裁判所が各自の資力その他一切の事情を考慮して審判で分担額を決めます。
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【弁護士費用】
弁護士に依頼をしたいと思っています。費用はいくらになるのでしょうか。
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事案によって異なりますが、大まかな目安はこちらからご確認いただけます。