相談事例

消費者

 電子商取引及び情報取引等に関する準則は、ネット上、利用者に料金の支払いを請求するには、有料申込みになることを明示して消費者に申込・注文を確定す るといったボタンをクリックさせて申込意思を確認したり、申込内容の訂正をする機会を与えることなどを要求しています。よって、画面の端に有料を書いてい る程度で支払義務が発生することはありません。
 このように「総合情報サイト利用料」などの名目で利用した覚えのない料金を請求されたり、本件のように有料と気づかせない方法でホームページを見た利用 者が料金の請求を受ける場合がありますが、支払う必要はありませんので、そのような請求は無視して下さい。慌てて業者に問い合わせると返って個人情報を相 手に知らせることになり、執拗な取り立てを受ける可能性があります。
 ただし、悪質業者は自己の請求が法律的に認められないことを十分認識しながら行動していますので、既に、取り立てを受けてしまった場合でも、お気軽に弁護士等にご相談くださった方が、問題の解決は格段に早いものと思われます。

 未成年の場合、業者の側が特に騙した等の事情が無くても、法定代理人(親権者)の同意なく行った契約であれば原則として後からでも取り消すことが認めら れています。取消はお子さん本人が行っても、親権者が行っても構いません。取り消されると契約は最初から無かったことになりますので、業者は代金を返金し なければならず、お子さんは消耗品であっても今残っている状態で商品を返品すれば足ります。
 但し、未成年者の取消権は、文房具の購入などあらかじめ小遣いとして渡されている範囲でした契約や、お子さんが「自分は成人である」とか、「親が同意し ている」などと積極的に業者を騙して契約した場合などは制限されます。もっとも、業者の方が、嘘を誘導することもありますし、特に本件のようなネット取引 では、積極的に騙したといえるかどうかについて規制をかけていますので、直ちに諦める必要はありません。

 近年、携帯電話やパソコンなどを利用しインターネットを介して不特定多数の人が同時に参加して行うオンラインゲームが流行しています。無料を謳いながら、追加要素を有料で販売する形態も多く、思わぬ高額の料金の請求を受けることがあります。
 まず、未成年者が親権者の同意なく行った法律行為は取消の余地があります。そのような場合、料金がクレジット払いになっていたとしても、クレジット会社 に対して割賦販売法30条の4に基づき支払拒絶を主張することができます。また、電子商取引契約法は、電子画面で申し込みをする際、消費者が申込みを行う 前に、申込み内容などを確認する措置を事業者が講じていなければ、錯誤無効を主張する余地を認めています。どのような措置が講じられているかネット上で再度確認してみてください。

消費者が契約を締結した後、一定期間内であれば、理由を問われることな
く無条件に取り消すことができる「クーリング・オフ」という制度があります。
特定商品取引法と割賦販売法によって認められています。

①訪問販売、電話勧誘販売、通信販売においては、原則として全ての商品・サービスが規制の対象になります。

②クーリング・オフのできる期間は、訪問販売、電話勧誘販売、英会話など継続的サービス提供契約は8日間、マルチ商法や内職商法などは20日間となっています。

③インターネット取引や通信販売については、返品の可否・条件を広告表示していない場合は、商品等の受領日から起算して8日間、クーリング・オフが可能になります。

 

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 「必ず当たる」といったうたい文句でパチンコ攻略本を売る詐欺商法です。
 そもそも、パチンコはギャンブルであって必ず勝てる方法などありません。こうした勧誘は断定的な判断の提供であり消費者契約法に基づく取消や詐欺・錯誤に基づく取消などが考えられます。事案によっては、クーリング・オフもできる余地があります。
 ただ、こうした業者は、通常、短期間で連絡が取れなくなることが多いので、振り込め詐欺等救済法による口座凍結も検討されるべきですし、雑誌の広告の在り方から広告業者等に対して責任を追及することも検討できるでしょう。
 ちなみに最高裁は、「広告内容の真実性に疑念を抱くべき特別の事情があって、読者らに不測の損害を及ぼすことを予見し、又は予見し得た場合」に真実性の調査義務を負うことを認めており、パチンコ攻略法について広告業者の調査義務違反を認めた裁判例もあります。
 まずは、パチンコなどのギャンブルに「必ず勝つ」などという方法がないことを肝に銘じ、このような勧誘にはのらないことが肝要ですが、もし、被害に遭ってしまった場合には、躊躇されず速やかに弁護士にご相談ください。

 近年、この種の未公開株式による詐欺事件が後を絶ちません。そもそも、非上場会社の株式には、上場会社と異なり、客観的な価値を担保できる制度がありま せん。株式の流動性も低く、実際に会社が買戻しに応じる保証もありませんし、そうした場合、およそ経済的な価値が付くことはないと思った方が良いでしょ う。  
 株式の購入の取次ぎ、代理などを行うことができるのは、内閣総理大臣の登録を受けた者のみで、登録を受けた者も、未公開株に関しては「グリーンシート銘 柄」しか取り扱うことができません。A社が実在する会社か否か、登録業者か否か、B社は実在する会社か否か、B社に上場の予定があるのかなどを調査しま す。B社が全く実在しない会社である場合、その株式の販売は詐欺罪を構成しますし、A社に証券業登録がなければ証券取引法違反による犯罪行為、公序良俗違 反により売買契約そのものを無効とし、代金の返金を求める余地があります。
 ともかく、うまい話にはのらないことが肝心ですが、うっかり契約をしてしまったの であれば、速やかに弁護士に相談されることをお勧めします。

 訪問業者が自宅を訪問して貴金属などを無理やり買い取る被害は、「押し買い」と呼ばれています。
 業者は一般的な買い取り価格よりもはるかに安い価格で、強引に買い取っていきます。
 被害者のほとんどは高齢者や女性で、被害品は金・プラチナなどの貴金属が圧倒的に多いようです。
 これまで、押し買いをする業者を規制する特別な法律はありませんでしたが、2013年2月に施行された特定商取引法改正で、押し買いについても業者に対する規制が導入されました。
 その結果、無理やり物品を買い取られたとしても、その業者から契約書面を受け取った日を含めて8日間は、買い取りの契約をクーリングオフ(無条件キャン セル)することができるようになりました。契約書面を渡されなかった場合や、書面の記載に不備がある場合には、8日間の期間制限なしにいつでもクーリング オフをすることが可能です。
 業者の勧誘行為も規制されました。依頼もないのに自宅を訪ねて買い取ろうとしたり、威圧的に買い取ろうとする行為などは禁止されています。
 ただし、自動車、大型家電、家具、書籍、テレホンカードなどの有価証券、CD、DVD、ゲームソフトなどの買い取りの場合には例外で、この法律の適用がないとされています。
 また、消費者が買い取りを依頼して業者を自宅に呼んだ場合や、引っ越しの際に不要な物品を買い取ってもらう場合は、クーリングオフはできないとされていますので、注意が必要です。

【クーリング・オフとクレジット契約の解除】

 訪問販売でAと名乗る業者から、健康食品の購入を勧められ、契約書にサインをしたところ、B社のクレジットで購入する契約になっていました。しかし、おくられてきた商品は粗悪品で、購入したことを後悔しています。今後もずっとB社のローンを支払うのかと思うとやりきれません。

 まず、販売業者Aとの関係では、訪問販売ですので特定商取引法の適用を受けますから、Aに対して契約書面を受領した日から起算して8日を経過するまでの間、クーリング・オフする旨の通知を発することができます。同時に、クレジット会社B社との関係でも割賦販売法の適用がありますので、B社に対してクレジット契約の申し込み書面又は契約書面を受領した日から起算して8日以内に、クーリング・オフする旨の通知を出しましょう。いずれも期間内に発信したことが必要ですので、はがきのコピーを取った上で簡易書留、特定記録郵便などで通知するか、内容証明郵便を利用するべきでしょう。
 なお、業者は法律上の要件を満たす契約書を交付しなければなりませんので、一部でもその要件を欠く場合、要件を満たす書面の交付が無い限り、期間制限に服しません。また、業者が不実告知する等クーリング・オフを回避しようとした場合、改めて事業者が消費者の誤解や戸惑いを解消しない限り、クーリング・オフ権は消滅しないと考えられます。
  この方の場合、送られてきた商品が粗悪品であったと仰るので、一部を使って仕舞った可能性があります。特定商取引法、割販法は商品を「使用または消費」してしまった場合に、クーリング・オフに制約を設けています。しかし、商品自身を使ってしまった場合や密封していることに意味がある商品を開封してしまった場合はさておき、例えば10点セットの商品の1つを使ってしまったなら、残りについてクーリング・オフすることは認められるでしょう。また、業者自身が商品を開封して、使わせた様な場合は、全部についてクーリング・オフを妨げることはできません。

【クーリング・オフと業務性】

 私は自営で小さな飲食店を経営しています。ある日、お店にFAX複合機のリース契約の飛び込み営業を受けて、ついつい言われるままに契約を結んでしまいました。しかし、冷静になって考えてみると、こんなに立派な複合機は必要ありません。クーリング・オフしようと思ったのですが、「営業のため」に契約したのだから、認められないと言われました。やむを得ないのでしょうか。

 確かに、特定商取引法26条1項1号は「営業のために若しくは営業として」締結する取引について、訪問販売に関する規制の適用を除外しています。しかし、これは、契約の目的・内容が営業のためのものである場合に本条が適用されないという趣旨であって、契約の相手方の属性が事業者や法人である場合を一律に適用除外するものではありません。一見事業者名で契約をしていても、購入商品等が主として個人用・家庭用に使用するためのものであった場合、原則としてクーリング・オフは認められるべきです。実際、親子で経営している理髪店に訪問販売された電話機、自動車販売会社に訪問販売された消化器などの事案で、裁判例上、クーリング・オフが認められています。
 実際の事例では、上記の設問に限らず、契約主体も購入する商品も多様です。契約主体の属性、契約した商品等と営業との関係、業務場の利用の頻度等を総合して判断していくことになると思われますが、クーリング・オフは期間制限を受ける可能性がありますので、ご心配であれば早急に弁護士にご相談いただいた方が良いと思われます。

【クーリング・オフの効果】

 クーリング・オフの通知を出したのですが、業者が違約金を支払えといい、商品を引き取ってくれません。どうしたら良いでしょうか。

 クーリング・オフが成立した場合、業者は損害賠償や違約金の支払いを請求することはできません(特定商取引法9条3項)。引渡済みの商品の引き上げ費用も、業者の負担となりますので(同法9条4項)、着払いで返還するか、業者が取りに来るまで放置しておくこともできます。
 なお、消費者が既に商品の代金を支払ってしまっていた場合、業者は自己の負担で既払代金を返金する必要があります。 

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