ことのはぐさ

2016.09.09 弁護士 渡辺和恵|失業した時は雇用保険の支給を受けて生活の安定を図れるように


 政府が経済対策として雇用保険料率の引き下げを検討していることが報じられました。現行は賃金の0.8%で、労使折半で0.4%ずつの負担ですがこれを引き下げる方向だといいます。雇用の改善で失業給付の支出が減ったので、雇用保険料の積立金が2014年決算で空前の黒字で約6兆3千億円にのぼっているからだといいます。

 

 だけど失業給付の支出減は「雇用の改善」ではなく、雇用保険受給資格等の制限の法改悪によるとの指摘があります。

 まずは法改悪自体を正して、失業中の労働者の生活の安定を図るべきです。更に、私の経験からすれば、実際の運用にも問題があります。例えば、「事業主都合退職は7日間の待期期間の後、雇用保険金が支給される」「自己都合の時は更に3ヶ月の受給制限期間がある」(給付を受けられない期間が長すぎる)は皆が知っている知識ですが、その起点は離職票を公共職業安定所に提出した時であることを皆は知っておいででしょうか。

 

 最近、離職票の交付を事業主から得られないと受給できない、あるいは遅れによって失業中の生活が成り立たない、最近このような労働者の皆さんから離職票の交付が事業主から得られない時どうすればよいかとの法律相談を聞くようになりました。

 ところで、皆さんは離職票は事業主から交付されるだけのものと思ってはいませんか。

 雇用保険法施行規則には、離職票は労働者に直接公共職業安定所から交付される場合があることが明記されています(法規則第17条)。離職票の事業主からの交付を待っていてこれが遅れたために保険給付額が減ってしまった労働者が事業主に賠償請求をしたところ、この規定を逆手にとって拒否した事業主もいます。いずれにしても、自分で離職票の交付を職安に求めて足らないことがあれば、職安から事業主を指導させればよいのです。

 こんな基本的な知識が流布されていません。もっと権利行使の実践を交流したいものです。


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