消費者金融大手の武富士が9月28日、東京地方裁判所に会社更生を申し立てました。
会社更生とは、資金繰りに困り倒産状態にある会社が、裁判所の監督の下で、負債を一定の範囲で免除してもらって、再建を図るという手続です。
武富士は、「高金利・過剰融資・過酷な取立て」という「サラ金三悪」を文字どおり実践して、多数の多重債務被害者を生み出す一方、自らは暴利をむさぼってきました。貸金業法が改正され、上限金利が引き下げられ、総量規制による過剰融資禁止が具体化されましたが、武富士が経営難に陥ったのは、改正法に対応できない貸金業者の経営に未来がないことを示したといえるでしょう。その意味では、武富士に再建をさせるのではなく、清算させることが必要なように思われます。
会社更生で取引はどうなる?
さて、武富士の会社更生申立てによって、現在取引中の方や、過去に取引しておられた方に、どのような影響が出るでしょうか。
武富士は、長らく利息制限法に違反する高利で営業をしてきたため、不当に利息を受け取ってきました。支払わなくてよかった利息を元本に充当すると、実際の借金の額は名目を下回り、取引が長い方については過払金が発生している可能性があります。武富士は、利息制限法に従えば、正しい借金の額はいくらになっているのか、過払金が発生するのかどうかについてコールセンターで問い合わせに応じることを発表しています。しかし、武富士の計算がほんとうに法的に正しいのか(例えば、過払金には年5%の利息を付して返還しなければなりませんが、その計算をしているのかどうか等)、取引開始時点からのすべての取引を開示しているのかどうかは、保証の限りではありません。
過去に取引をしておられた方は、武富士に対し過払金の返還を請求する権利を有しておられます。
利息制限法に従った計算をしても借金が残る方については、残額について分割での返済をすることになります。
更生手続への参加 債権届出は必ず
過払金の返還を請求できる方については、会社更生手続に参加し、配当を受けることができます。まずは、更生手続開始決定がなされてからおおむね4カ月以内を目処に定められる債権届出期間内に、債権届を提出しなければなりません。債権届を提出しなければ、一方的に権利が失わされてしまうからです。その後、更生管財人が届出のあった債権を点検して、債権額を確定します。更生計画が認可されれば、これに従って配当が行われます。
創業者と金融機関は責任を果たせ
今後の会社更生手続においては、長年にわたって経営の実権を握っていた創業者一族の責任はもちろん、暴利をむさぼってきた武富士の営業によって利益を得ていた銀行や機関投資家などの金融機関の責任も問われなければなりません。会社更生手続は公正さが要求されますが、多重債務被害を生み出した創業者の責任や、資金を提供してこれを支援した金融機関に応分の責任を果たさせなければ、真に公正な処理がなされたとは評価できないでしょう。
武富士問題をきっかけに生活再建を図りましょう
武富士と現在もしくは過去に取引をされた方は、自らの正しい借金の額がいくらになるのか、過払金を返還してもらえるのかなど、不安に思っていらっしゃるでしょう。また、武富士への借金の返済のために、他社から借入を増やし、借金に悩んでこられたのではないでしょうか。
会社更生手続は少し複雑で、みなさんの権利や義務が正しく取り扱われないおそれもあります。ぜひ、弁護士に相談してください。また、この機会に、借金問題の解決を図り、生活を立て直すことも可能です。
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