私は、昨年9月に満70歳の古希を迎えました。古希というのは、文字通り「古来、希なり」と言うことで、これは、中国の詩人杜甫の詩の一節のようですが、杜甫の時代はともかく今頃は70歳も全く珍しくありません。
ただ70歳になった本人にしてみると、いつの間にか70年が過ぎてしまった、私の場合、弁護士になった昭和42年が社会に出て働き始めた最初であり、この約45年間一体何をしてきたんだろうかという、いささかの感慨なきにしもあらずです。
とはいえ、日常の生活は、いろいろな仕事に追われており、いつもそんなことを思っているわけではありません。
ただ現在の生活は、さすがに昔のように夜遅くまで働く、あるいは土曜日や日曜日に出てきて仕事をする、などと言うことはなくなりました。最近 は、同じ町内の同年代の人たちと時々集まって、一晩遅くまで酒を酌み交わして全くとりとめもないことをしゃべることや、またほぼ同年代の弁護士や退職した サラリーマンなどと一緒に山というか、丘というか、そんなところを歩いたりしています。最近では、今年の7月17日に奈良の円成寺から柳生の里まで約10キロを歩きました(多少は山も登りましたが)。
この山歩きも、だいたい15名ぐらいが参加し(男女はほぼ同数)ます。この場合、山歩きも大事ですが、それと同じくらいその後の夕食会が楽しみです。時には、夕食会だけに来る人もいます。映画の話でも、ヘンリー・フォンダもイングリッド・バーグマンやグレゴリー・ペックも知らない若い人たちと話をするのは苦痛ですが、この集まりではそんなことはありません。始めから終わりまで、そうした話で盛り上がるのです。そこには、進歩も発展もありませんが、古き良き時代(悪いことは全部忘れてしまうため)の思いにひたすら浸ることが出来るのです。