橋下徹・前大阪府知事が代表を務める大阪維新の会大阪府会議員団は、大阪府議会に、職員基本条例案を提出しています。しかし、そのねらいは、 競争主義を導入にして、公務サービスを民間営利企業に開放するとともに、「大阪都構想」など自身の推進する政策に賛同するイエスマンで幹部職員を固めて公 務を私物化する一方、意に添わない職員を問答無用で切り捨てるとんでもない違憲、違法のオンパレードです。
例えば、一般職公務員のうち一定の幹部を「準特別職」として公募制・任期制を導入していますが、これでは知事の「お気に入り」を登用することができるもので、明らかに、一般職公務員の任用は、「受験成績、勤務成績その他の能力の実証に基」くとする地方公務員法15条に違反しており、公務の私物化・政治による支配を容易にするものです。条例案では、準特別職員には、マネジメント能力=組織を通じて経営方針を有効に実施させる運営能力が要求されるとしていますが、要するに、上意下達を幹部職員に要求するのですから、「マネジメント」とは程遠いものです。
また、成果主義人事制度を導入し、相対評価で2年連続最下位評価を受ければ分限免職の対象にされてしまいます。橋下・前知事は、何かにつけて、「民間では当たり前」と声高に叫ぶ「民間出羽守」として知られていますが、このような常に誰かが分限免職の対象となるような制度を民間で導入すれば、 違法無効とされてしまいます(セガ・エンタープライセズ事件。東京地裁平成11年10月15日決定)。成績評価も、業務目標を最も効率的かつ効果的に達成 することを目的として行われるというのですから、住民のニーズそっちのけで、知事や上長の定める目標達成に汲々する「ヒラメ」公務員が多数生まれてしまい ます。そのような事態は、公務サービスのあり方としてはきわめて問題です。
さらに、同一の職務命令に3回反したり、5回の職務命令に反した職員は、問答無用で分限免職処分となってしまいます。職務命令で統制をし、意に添わない職員の身分を奪うというのは、軍隊まがいのトップダウン組織であり、公務の職場にふさわしくありません。橋下・前知事は、さかんに「嫌なら辞めろ」と府職員を恫喝をしますが、ワンマン社長の言いなりにならなければクビというのですから、条例案がまかりとおれば、民間も真っ青のブラック企業に変質させられてしまいます。
このような条例案には、各界からも反対や疑問の声が寄せられています。
民主法律協会
大阪自治労連弁護団
大阪労働者弁護団
このように、職員基本条例案は、憲法の定める地方公共団体のあり方や、地方公務員の職責を根本から踏みにじるものであり、廃案にするほかありません。