ことのはぐさ

2024.08.05 弁護士 坂田宗彦|書評『登山と身体の科学』


 おすすめの本です。
 『登山と身体の科学』著者・山本正嘉(ブルーバックス)


 この本は今年(2024年)5月に出版されましたが、これから登山を始める人のみならず、いっぱしの登山経験者にも役立つ情報が満載の本です。著者は登山歴50年以上の登山者である一方、鹿屋体育大学で長年、運動生理学の研究に従事されていました。本書は、運動生理学の立場から、登山と身体のあらゆる場面について科学的に探求し、問題点を解明し、処方箋を与えたものです。私が日頃感じていたいくつかの疑問に答えてくれただけでなく、それ以上に有益なアドバイスを多くもらえました。
 この本では、最初に、佐賀県の金立水曜登山会の実践が紹介されています。登山会の会員約100名は、毎週水曜日に好天、雨天にかかわらず、標高502メートルの金立山に、半日程度の軽登山をしています。ゆっくりとした上り下りです。その結果、会員の生活習慣病への罹病率は同年代の一般人より大幅に低く、体力面でも3割程度優れており、3年間の追跡調査でも体力の低下が食い止められている。そして、会員が日本アルプスのような大きな山へ挑戦しても一般の登山者に比べて身体のトラブル発生率が目立って低いことが報告されています。
 著者は、ウォーキング等と比べても登山を有酸素運動の最高傑作とします。そして、±500メートル程度の「軽登山」を月に4回行うことを勧め、さらに大きな山に挑むためのトレーニングの方法を丁寧に教えてくれます。
 ゆっくり上れば疲れないはずなのに何故山の上りは疲れるのか、筋肉痛は下りで起きるのはどうしてか、登山を始めて1時間半で体が動かなくなるシャリバテは何故起きるのか・・などなど、科学的に解明されるとなるほどと思うことばかりです。登山の時の食事や水の取り方のアドバイスも参考になります。
 山登りは、それ自体が自然に癒やされ感動をあたえてくれるものです。上り下りに工夫をして、よりいっそうの楽しみを期待したいものです。


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