ことのはぐさ

2024.04.15 弁護士 坂田宗彦|登山は下りが肝心


 50年近く山登りを続けてきました。登山道ではげしく転倒したことが4度あります。擦り傷程度で収まりましたが、そのいずれも転倒したときのことを昨日のことのように鮮明に覚えています。4度に共通しているのは、10キロ以上のザックを背負い、長時間歩行していて疲れていたことで、足を前に出しているつもりで出ていなかったことが原因です。転倒した場所は何ということもない場所で、おかげで転落も大怪我もせずに済んだのです。
 最初に転んだのは、北アルプスの鏡平から新穂高温泉へ下山する小池新道の終点近くで、傾斜もない道でしたが、足がもつれて転びかかった目の前に子どもの頭ほどの岩が転がっており、うまく避けることができたものの、岩に頭を打ちつけていたらただではすみませんでした。何十年も前のことですが、いまでも目の前に迫った岩を思い出します。
 最後に転んだのは、これも北アルプスの白馬大池から蓮華温泉へ下山中、温泉到着寸前のことでした。朝一番のバスに間に合うよう休みも取らずにひたすら下ったあげくの転倒で、結局、目当てのバスには間に合わず、次のバスまで4時間ほど待つことになりました。
 ある意味で転倒よりも深刻なのは、下山後、酷使した大腿四頭筋に全く力が入らなくなって、家に帰るのに大変な苦労をしたことです。これも何度かありました。何故か、下山途中ではなく下山後に発症するので遭難には至っていません。下山中は緊張して機能を発揮していた筋肉が、下山後は安心してストライキしているのではないかと思うほど役に立たなくなります。ストックを頼りにそろそろと歩いても、突然、膝が崩れて転ぶし、階段の上り下りは全く出来ません。この筋肉の疲労はその日の内にはまったく回復しません。氷で冷やしても薬を塗っても駄目ですが、一晩寝れば回復するのも毎度のことでした。
 それでも、もし山中で、このような事態となったら行動不能となり確実に遭難です。そこで、万が一のために山中で一夜を過ごすためのビバークの装備を新調しました。
 それから、なによりも下りの筋肉を鍛えることが大切なので事前のトレーニングを工夫するようになりました。過去の苦い教訓から、事前に軽い山行やトレーニングをしていない場合に限って大変な目にあっていますから、順を追ったトレーニングをするようにしました。スクワット、12~3キロの荷物を背負っての上り下り、これを夏の本番であるテント泊縦走に向けて実行しています。
 「登山は下りが大切、下れなくなったら登るな」が身にしみています。


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