1 フランスで開催されたラグビーW杯は、南アフリカの優勝で閉幕した。
決勝は接戦だったが、個人的には、世界ランキング上位4チームが激突した準々決勝の2試合が死闘と呼ぶにふさわしい好ゲームであった。
2 ラグビーは、「熱い心と冷たい頭」を必要とするスポーツである。
熱い心。
これなしで、タックルやジャッカル(相手方が確保するボールの奪取)といった生身の体をぶつけあうプレーはできない。観るのが専門の私からすれば、チームのために体を張る選手は、それだけでリスペクトに値する。
冷たい頭。
ラグビーには、前方にパスできないという基本ルールがある。
現代ラグビーの防御システムは整備され、横や後方にパスするだけでは前進することができないため、防御ライン後方にキックを蹴り上げたり(ハイパント)、パスの受け手が角度をつけて入ってきたり、意図的に密集状態(ラックやモール)にして防御陣を集め、外にスペースを作り出すといった工夫をしながら、防御ラインを崩していく戦術が必要になる。
まさに理詰めのスポーツである。
3 もうひとつの特徴は、チームプレーが重視されることである。
フォワード(FW)は8名、バックス(BK)は7名。FWが頑張っていいボールを供給できてこそ、BKに活躍の場が与えられる。
また、FWもBKも、ポジションに応じて求められる役割がある。各人がその役割を果たしてはじめて、チームが機能する。
そして、激しい戦いの後は「ノーサイド」で互いを称えあう。
こう考えると、ラグビーの世界は、社会や組織の縮図でもある。
4 これから国内で「リーグワン」が始まり、続々と海外のスター選手が参戦する。
レベルの高い試合が開催され、新生ジャパンの底上げにつながることを願ってやまない。