2023年8月27日、墨田区の荒川河川敷の旧四ツ木橋のたもとにある関東大震災朝鮮人虐殺犠牲者の追悼碑(京成線八広駅)を訪れました。
自由法曹団と在日コリアン弁護士協会の共催の現地訪問で、この歴史を伝える活動をしている「ほうせんかの家」の西崎雅夫さんのレクチャーをお聞きしました。事前の自由法曹団内の学習会でジャーナリストの加藤直樹さん(著書「9月、東京の路上でージェノサイドの残響」)の講演を聞いて自分なりの想像はしていましたが、虐殺現場の橋の下に血が滴り落ちてきたなどの数々のエピソードをお聞きして、100年前に、火事を逃れて向こう岸に橋を渡ろうとする朝鮮人を、自警団が多数拘束して殺害したというリアルな惨状をイメージすることができました。河川敷では、韓国から訪れている高校生たちが踊りや歌で犠牲者を追悼している光景にも出会いました。
そのあと両国にある東京都横網町公園の朝鮮人犠牲者追悼碑を訪れて、追悼式典実行委員会の宮川泰彦委員長(弁護士)の解説を聞き、小池都知事が追悼文を送ることをやめて、忘れてはならない歴史的事実をゆがめようとしていることが報告されました。宮川弁護士は、私が自由法曹団の本部次長をしていた30数年前に、警察問題委員会でお世話になり、久しぶりにお会いすることができました。
さきの学習会では、加藤氏は「朝鮮人が放火している」「井戸に毒を入れている」などのデマ(流言飛語)に市民が惑わされ、警察もそれを信じて警戒指示を出すなどした背景には、①背景に日本社会に民族差別があったこと(植民地支配への朝鮮人の抵抗への警戒心)、②正力松太郎ら東京市警(現在の警視庁)の幹部の治安優先の先走り(全警察署への警戒指示)、朝鮮半島での抵抗村の抹殺体験を持つ軍隊経験者と軍隊の出動、③デマとわかった後の警察への批判をかわすための政府の事件の規模、死者数の隠蔽矮小化があったと指摘されました。
司法省の資料をはじめ、この歴史を記録している公的資料は多数あるのに、「政府として調査した限り、事実関係を把握できる記録が見当たらない」という松野博一官房長官の発言は許せない虚偽発言です。
9月には、同じテーマを描いた「福田村事件」という映画で、同じ時期に、千葉県で朝鮮人と間違えられた日本の行商人一行が村の在郷軍人ら自警団により殺害された歴史を知り、改めて、加害の歴史に正面から向き合うことの重要性を学び直しました。