表題の内容の趣旨で、令和2年2月28日に最高裁裁判所から新しい判断がでました。
事案は、運送会社に勤務するトラック運転手が、仕事中に交通事故を起こしたというものでした。
事故を起こした運転手本人が事故の被害者に対して損害を賠償する義務があるのは当然です。また、被害者は、被害者保護の観点から、業務中の事故だという理由で、運転手だけでなく運送会社にも賠償を求めることができます。
この件は、さらに一歩ふみこんで、運転手が被害者に弁償した場合に、事故を起こしたのが運転手の責任であっても、運転手は、弁償した金額の一部または全部を運送会社に対して請求できる、と認めたのです。
言い換えれば、業務上の過程で第三者に生じさせた損害は、雇主と直接の加害者であり実際にミスをした労働者との間で、公平に分担すべきだ、と言う考えをはっきりさせたのです。
そして、どの程度の負担が公平といえるのか、については「その事業の性格,規模,施設の状況,被用者の業務の内容,労働条件,勤務態度,加害行為の態様,加害行為の予防又は損失の分散についての使用者の配慮の程度その他諸般の事情」を考慮して決めるとしました。
ですので、もし、仕事上のミスで第三者に損害を生じさせた場合には、この話を思い出して、損害を一人で背負うのではなく、会社との間で損害分担の話し合いをしましょう。