ことのはぐさ

2020.10.08 弁護士 井上洋子|住宅ローンと借金の整理


 多くの方はご自宅を住宅ローンを利用して購入しておられると思います。
 住宅ローンだけならばいいですが、生活費が足りないときに消費者金融から借り入れたりクレジットカードのキャッシング機能を利用したりして、どんどん借金が膨らみ、ついにはその返済で生活が圧迫されて回らなくなる、という事態に至ってしまうことがあります。

 借金が膨らんでしまったときの借金の整理の仕方は大きく3つあります。
 一つは債務整理といって、すべての債権者に対し、利息を免除してもらい元金だけを長くても3年から5年の分割払で完済することを合意してもらう方法、二つ目は、裁判所を通じて、支払債務を債務総額の原則2割程度(最低100万円から最高500万円まで、債務総額等によって具体的な弁済金額は変わってきます)に減らしてもらってそれを原則3年分割で払う方法(個人再生手続き)、三つ目は、裁判所を通じて、すべての資産を手放すという前提で、借金の全額について支払の免除を得る方法(破産手続き)です。
 3つのうち、どの方法をとるかは借金額、収入額、資産額などを考慮して決めます。
 
 家は手放したくない、住宅ローンを払い続けてこの家に住みたい、けれど借金は整理しないとやっていけない、という状況の方をしばしばお見受けします。このような場合は、個人再生手続きを利用して、住宅ローンを支払い自宅に住み続けながら、住宅ローン以外の借金を減額する方法が検討できます。もちろん、借金総額、ローン支払額、資産総額、収入のうちどれだけを返済に回せるか、自宅不動産に住宅ローン以外の抵当権がついていないか、といったことを考慮して、一定の条件を満たすことが必要です。
 しかし、自宅を維持したいけれど借金が増えて困っているという場合には、一度ご相談下さい。道が開ける場合があります。


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