ことのはぐさ

2020.05.14 弁護士 古本剛之|保証制度が改正されています


 2020年4月施行の民法改正において、保証契約については保証人を保護するための改正がなされていますので、そのうちいくつかをご紹介します。

 

1 債権者から保証人に対する、履行状況に関する情報提供義務
  保証人は、主たる債務者の履行状況(支払いが滞っていないか等)を知り得ないことが多くあります。このため、支払いが  滞ってかなりの時間が経ってから膨大な遅延損害金を含めた請求を受けて困るケースがありました。
  今回の改正で、保証人から請求があった場合には、債権者は主たる債務の残額や利息、損害金などについての情報を提供する 義務が定められました(新458条の2)。
  また、債権者は、主たる債務者が期限の利益を喪失した場合(一括請求を受ける状態)には2ヶ月以内に保証人に通知しなけ ればならず、これを怠ると遅延損害金を請求できなくなります(保証人が法人の場合を除く)(新458条の3)。

 

2 根保証の個人保証人の保護
  継続して発生する債権全体を保証する根保証については、保証人はどれだけの責任を負うのか予想がつきにくいという問題が あります。そのため、個人で根保証をした場合には、保証の限度額(極度額)を書面(電磁的記録による代替は可能)で定めな ければ無効になることとされました(新465条の2)。この改正によって、あらかじめ保証する限度額が明示されることにな ります。
  また、建物賃借人あるいは保証人が死亡した場合には元本が確定することとなり、その後も延々と保証債務がかさみ続けるこ とはなくなります(新465条の4)。
  また、法人の債務を個人で根保証した場合にも、限度額や元本確定日の定めが要求されるなどの保護が定められました(新  465条の5)。

 

3 事業債務の保証人の保護
  個人事業主や小さな企業が借入などをする際に、個人の保証人を求められることがよくあります。経営者や代表者はやむを得 ないとしても、「他にも保証人が要る」と言われて、経営に関わらない家族や友人に「迷惑かけないから」と頼み込んで保証人 になってもらったりします。家族や友人は、軽い気持ちで保証人になってしまうと、後で多額の支払いを迫られて、結局自己破 産するというケースも珍しくありません。
  今回の改正では、経営に関わっていないような人が保証人となる場合には、公正証書の作成が必要になり、保証人の意思を厳 格に確認することが求められるようになりました(新465条の6~9)。
  また、事業債務の個人保証においては、主債務者から保証人へ財産や収支状況などの情報を提供しなければならず、これに反 すると保証人は保証契約を取り消すことができる場合もあります(新465条の10)。このために、債権者の側では、主債務 者が保証人に情報提供をしたかどうかを確認する必要が出てくるでしょう。


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