社会のIT化に伴い、民事訴訟や調停手続きでもweb会議の活用が進みつつありますが、離婚調停でも活用の機会が拡大することになりました。
1 離婚調停は、原則として、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てをします。
当事者は調停期日に家庭裁判所に出向き、調停委員が在席する部屋に交代で出入りし、調停委員主導の下で調整が図られるのが通常です。
最近は、具体的な事情や当事者の意向を踏まえ、家庭裁判所の判断により、web会議の形式で期日を開催することも可能とされていましたが、家庭裁判所が当事者の意思を対面で確認する必要があるという理由で、これまで、web会議の方法によって離婚調停を成立させることはできませんでした。
2 しかし、家事事件手続法改正により、2025年3月以降、web会議の方法によって離婚調停を成立させることができることになりました。
注意すべきは、あくまでも、当事者を画像で確認できるweb会議の方法によってできるようになったことであり、当事者を画像で確認できない電話会議の方法によって離婚調停を成立させることはできません。
3 裁判手続きや調停手続きのIT化は今後も進められていきますが、IT化は目的でなく、手続きをより利用しやすくするための手段です。
両当事者の出席に支障がないのであれば、双方が出席し、対面で調停を成立させることが望ましいという基本はおそらく変わらないでしょう。ただ、事情によって、対面は困難という場合もあります。このような場合に、web会議が適切に活用され、離婚調停手続きが円滑に進んでいくことが期待されます。