身内が住んでいた家が、引っ越したり亡くなったりして空き家になった後、そのまま放置されているケースがよくあります。そのような空き家の処分についての経験に基づくお話しです。
【物の整理】
人が長く住んでいた家は、往々にして物にあふれています。身内の家であれば、思い出の品もあるでしょうから、まずは必要なものを持ち出すことになります。懐かしい物が次々に出てきたりして、楽しい時間でもあります。
ただ、物の整理一般にいえることですが、懐かしいものに気を取られすぎると作業が進みませんので、気を付けましょう。また、持ち出すものについて、何でもかんでも欲しがらないことです。持ち出しすぎると、自分の家が物にあふれてしまいます。本当に要るものを選び、不要な物は思い切って手放す覚悟を決めましょう。
写真などは、スキャナで取り入れてデータで保存するという方法もあります。手間はかかりますが、場所は取らなくなります。
必要な物がなくなったら、次は売れる物を売ります。電化製品、本、いろいろな中古品が売れますから、やってみて損はないでしょう。出張買い取りしてくれる業者もありますので、利用してみてもいいでしょう。
業者を利用した場合には、ほとんどの物は買い取り値は低いですが、たまに意外な値が付くものがあったりして、面白いです。
もっとも、高く売れる物は多くないので、時間がない方は、この過程は飛ばすという選択もあるでしょう。
高く売りたい場合は、個別に買い手を捜す方がいいかもしれません。
【物の処分(建物を空にする)】
売却方法にも関わりますが、まだきれいな建物であれば、基本的には中古建物として売却することになるでしょう。その場合は、荷物を全て片付けて、空で売るのが基本です。
不要物のみが残った後は、自力で物を運び出すか、処理業者に依頼します。
処理業者は、時間の余裕があれば、複数見積もりを取って比較しましょう。中には悪質な業者もいますので、ご注意下さい。
【売却】
建物が古くて、およそ買い手がなさそうな場合、取り壊して更地にして売却する方が、売値は上がります。ただ、更地にすると土地の固定資産税が大きく上がりますので、なるべく早く売却する方がいいでしょう。
建物を残したまま、買い手の方で解体する予定で売却する方法もあります。更地にして売却する場合より、値は下がります(解体費用を自分で出してでも更地で得る方が得することが通常です)。
ただ、この場合のメリットは、買い手との交渉次第で、建物内の不要物を残したまま売却することが可能になる場合があります。そうならば、手間が一気に省けることになりますので、「高く売るよりも楽に(早く)売りたい」場合にお勧めです。
土地の売却の際、隣地との境界が明確になっていることが必要です。長年所有者が移転していない土地だと、境界標がわからなくなってしまっていることもあり、この場合には、境界を確認する手続きが必要になります。隣地との境界について揉めている場合は、解決しておくことも必要になります。
空き家の処分は、特に急ぐ理由がない場合、ついつい先延ばしにしてしまって、なかなか手続きが進まないこともよくあります。ただ、老朽化した建物だと、危険なこともあります。例えば、屋根瓦が落下して近くにいた人が怪我をした場合、建物所有者に責任が生じることもあります。
処分する、と決めた場合は、目標時期を定めて、着実に進めていくことをお勧めします。