日本において外国籍の方が暮らすには在留資格が必要ですが、そのうち「永住者」という資格は、在留期限や就労制限などがなく、日本で安定的に暮らすためにはもっとも適した資格です。誰でも「永住者」になれるわけではなく、日本に原則として10年以上在留し、素行が善良で、独立の生計を営むに足りる資産や技能を持ち、永住が日本国の利益に合う、などの条件を満たして初めて認められます。法務省によれば、2023年12月末現在、永住者は約89万人で在留外国人約341万人のうち26.1パーセントを占めます。もちろん永住者の資格を得ても、懲役1年を越える実刑になると、退去強制となるなど、永住許可の取り消し制度があります。
ところが、現在の国会では、この永住者の資格の取り消し要件を永住者により厳しくする方向の法改正案が出されています。たとえば、入国管理法上の義務を遵守しなかったり、故意に公租公課を支払わなかったり、1年以下の拘禁刑に処せられた場合には、永住者の資格から他の在留資格に格下げできる内容です。また、公租公課を支払をしない場合などについて行政機関の職員は入国管理局に通報できるようになる、という内容です。これは実質的に考えると、「永住者」を生涯監視して、その法的地位を不安定にするものです。
もし自分が「永住者」だったらどうでしょうか。良い住民として暮らす努力をしていても、金銭的に公租公課を支払えない状況になったり、過失で交通事故をおこして人に怪我をさせたりすることがありえます。「外国人だから仕方ない」で済ませていいものでしょうか。私は、ちょっと違う気がするのです。