共有物の変更・管理について、民法が改正され、改正規程が適用されるようになっています。
その三つ目の点をご紹介します。
改正では民法252条の2が新設されました。「共有物の管理者」という新たな立場を認めました。
共有者以外であっても共有者であっても、「共有物の管理者」という立場につけば、共有物の管理行為をすることができるようになったのです。法人(いわゆる会社など)も含まれます。
「共有物の管理者」は共有持分者の過半数が賛成すれば選ぶことができます(民法252条1項)。管理者は、管理に関する事項を決めた場合には(これも共有持分者の過半数の賛成によって定まります)、それに拘束されます。しかし、決めていない事項については管理者の判断や裁量でできると考えられています。これは新しい制度などで、これから具体的な事例が積み重なっていくことと思います。
この規定により、共有者の1人がいわば共有者代表的な感覚で、共有物を管理していくという図も想像できます。また、不動産管理を業としている会社や個人業者が、共有物件の管理人としてビジネスチャンスをつかんでいくであろうことは大いに想像できます。
管理者制度が上手く機能することを願っています。
しかし、老婆心ながら、弁護士としてついつい心配してしまうのは、共有物管理が面倒な人たちの足下をみて業者の管理費が不当に高額に請求されないだろうか、とか(管理費用は共有者が持分に応じて負担する義務があります。民法253条1項)、管理の名の下に費用だけをとって逃げてしまう業者などいないだろうか、といった消費者被害のことです。ほかにも、民法252条の2の第4項では管理者が決まりに反してした管理行為は共有者との関係では無効になりますが、「善意の第三者」との関係では有効とみなされるため、たとえば、建物の賃貸借契約は今の借主限りにしするという決まりがあっても、次の新しい賃借人と契約して入居させてしまうなどの専横が生じないだろうか、といったことです。
こんなことが現実にならないようにも願っています。